渡辺大樹先生インタビューPart2。『きゅぽかの』誕生と全国に広がったうねり

漫画『きゅぽかの』 写真:Bowling Agent

渡辺大樹先生 写真:渡辺大樹先生ご本人提供

『きゅぽかの杯』から始まったムーブメント

ー『きゅぽかの』のおかげで、日本のボウリング界やボウリングファンの間でも盛り上がりが生まれました。作品をメインにした大会やグッズ販売といったイベントも生まれていますが、この“うねり”についてはどう思われますか?

渡辺:驚きしかないですね。いまだに信じられない気持ちです。そもそも『きゅぽかの杯』をやろうという話が出たのは、当時アマチュアだったボウリング仲間がプロになって、「せっかくだからボウリング漫画を描いているんだし、自分のユニフォームに絵を入れてみたら?」と勧めてくれたのがきっかけでした。その友人の紹介で、埼玉のボウリング場にいる方と出会ったんです。その方は看板や車のラッピングを手掛ける仕事をしていて、ボウリング歴も30年以上という大の愛好家。常連のボウリング場をDIYで改造して良くするような人で、僕のイラストを使ってマスキングを作ってくれることになりました。

最初は仲間5~6人で小さくアイロンプリントを付けて遊ぶつもりだったんです。でも、その方が「他にもやりたい人いる?」と声をかけたら、いきなり60人も集まってしまって。ボウリング場を貸し切る規模になり、プロも3人参加するという本格的な大会になったんです。まさにプロチャレンジのような雰囲気で、会場はお祭りのように盛り上がりました。

その後もイベントは3~4回続き、リーグ戦まで開催されるようになって、それが全ての始まりでした。僕は本当にきっかけを作っただけで、周りのみんなが楽しむためにどんどん形にしてくれて。いまも実感は正直薄いのですが、あのボウリング場の一つのイベントから全国へ広がっていったのは、本当にありがたいことだと思っています。

ー『きゅぽかの』は現在、連載がお休み中ですが……。

渡辺:そうなんです。本当に申し訳ない。長い間休載してしまっていて……。ただ『ボウリングマガジン』ではコラム形式の4コマは続けているんです。

ストーリー漫画の方は、7フレーム目まで描いたところで壁にぶつかってしまって。試合をどう描くか、動きをどう表現するかが難しくて、ちょっと止まってしまったんです。でも構想も展開もある程度考えていて、復活は本当に近いうちにしたいと思っています。

絵のレベルも少しずつ上げられていると思うので、再開したときに画風が急に変わっていたらすみません(笑)。


『きゅぽかの杯』というごく身近なアイデアが、いつしか全国規模の盛り上がりを見せる。そんな展開を実際に目の当たりにした渡辺先生の驚きと感謝の言葉が全編を貫いていた。

現在はストーリー漫画が休載中とはいえ、構想は進行中。復活への想いと進化への志は、作品とファンをつなぎ続ける糸となるだろう。

次回のパート3では、ボウリングという競技全体をどうすれば盛り上げられるのか。渡辺先生が考える「ボウリングの未来」に迫っていく。

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