8月30日と31日に開催された『コロナワールドカップ2025プロボウリング男子新人戦』で初優勝を飾り、一気に注目を集めたのが18歳の内藤広人だ。3年目での快挙は、ボウリング界に新たなスター誕生を予感させる出来事となった。
初タイトル獲得の勢いそのままに、内藤は挑戦者として常に前を見据えている。経験豊富な先輩たちに臆することなく果敢に挑む姿は、多くのファンや関係者の心を動かしている。
今回のインタビューでは、優勝後の心境、プロとしての覚悟、そして未来への展望について率直に語ってもらった。
ボウリングとの出会い
ー競技としてボウリングを始めたきっかけを教えてください。
内藤広人(下記内藤):3歳のときに任天堂Wiiで遊んだのが最初のきっかけです。ゲームをやっていて“実際に投げてみたい”と思って、6歳のころからボウリング場に通うようになりました。
ーその後、本格的に競技に取り組むようになったのは?
内藤:小学校5年生でJBCに加入しました。中学生の頃にはナショナルチームを目指しましたが、選考で落選するという悔しい経験もしました。
プロを意識したきっかけ
ープロを目指すようになったのはいつ頃ですか?
内藤:小学生のころから目指していました。河内唯斗プロが合格をしたのを近くで見ていて、自分も挑戦したいと翌年チャレンジしました。同世代が次々とプロの舞台に立っていくのも大きな刺激になりました。
ー現在所属している『岩屋キャノンボウル』との出会いについて教えてください。
内藤:小学校4年生くらいから通っていました。静岡からでも国道1号線で行ける距離で、練習環境も良かったんです。プロテストに合格したときには記念大会も開いていただき、そこから村山恵梨プロとも関わりが深まりました。
ー当時は浜松グランドボウルでも活動していたとか?
内藤:はい、アルバイトもしていましたし、浜松と岩屋キャノンの合同プロリーグにも参加していました。
プロ入りと初優勝
ープロ入りにあたり、推薦を受けた方を教えてください。
内藤:浜松グランドボウル支配人の大宮亜津志プロ、師匠の堂本美佐プロ、村松賢季プロ、この3人から推薦をいただきました。本当に身近に応援してくれるプロが多く、環境に恵まれていたと思います。
ー2025プロボウリング男子新人戦で優勝を果たしました。当時の状況を振り返ってください。
内藤:実は直前まで親指の感覚が良くなくて…。でも水野耕佑プロに作ってもらった“itのスラグ”を使って、さらにテープの貼り方も調整したら感覚が戻ってきました。準決勝の後半で280点台を出せたあたりから、“いける”という手応えがありました。
得意・苦手なレーンと今後の目標
ー得意なレーン、苦手なレーンはありますか?
内藤:ロングコンディションが得意です。僕は回転の比率が高いのでロングでラインを維持しやすいんです。逆にショートは苦手。手前のオイルの有無を読むのが遅いので、課題にしています。
ー試合で好む展開を教えてください。
内藤:後投げ=追いかける展開が好きですね。相手の結果を見てから自分が勝負にいく方が集中できます。
ー今後の目標について教えてください。
内藤:2勝目を挙げたいのと、最年少優勝記録(現保持者は倉持悠人プロ)を更新したいです。記録を狙える年齢には限りがあるので、今のうちに挑戦したいと思っています。
新星のこれから新人戦優勝はゴールではなく、新たなスタートライン。内藤は環境に恵まれ、支えられていることへの感謝を忘れずに歩みを進める。
世代交代の波が押し寄せるプロボウリング界で、18歳の挑戦者がどこまで頂点に近づけるか、その歩みは注目の的だ。
未来への扉を開いた内藤広人の挑戦は、まだ始まったばかりである。