アメリカでの初挑戦、レーンと環境の違い
―昨年の初挑戦はいかがでしたか?
斎藤:参加者は98名で、結果は29位でした。上位24名が決勝進出ラインだったので、43ピン届かず悔しい結果でしたが、賞金対象(33位以内)には入ることができました。
―日本との違いは感じましたか?
斎藤:大きいですね。まず会場の「ナショナルボウリングスタジアム」は国営で、一般営業を行っていないため、レーンの板がとてもきれいなんです。日本よりも手前が走ってくれて、とてもスムーズな投球感覚でした。
―オイルパターンの違いもありますか?
斎藤:はい。去年は42フィートで、オイル量が約34ミリもありました。日本で同じ数値でも感覚が全く違って、スピードをかなり落とさないと曲がりませんでした。また、日本では1ゲームごとに一定のボックス移動がありますが、PBAではランダムで、1ゲーム目は2ボックス先、2ゲーム目は4ボックス先など全く予測できません。だから前の選手がどう削ったかを読むことができず、より対応力が求められます。
―言葉の壁などはどうでしたか?
斎藤:英語は得意ではないですが、隣のボックスにいたネイト・パーチェス選手(昨2024年のルーキー・オブ・ザ・イヤー)がとても親切で、仲良くなれました。彼はその大会で準優勝したので応援していました。日本の井口遼太プロもPBA挑戦時に「斉藤優太を知っているか?」と聞かれたそうで、嬉しかったですね。
2年目の挑戦へ
―今年(2025年)の大会の目標を教えてください。
斎藤:予選は18ゲームで、6ゲームごとに3ブロックに分かれています。昨年は最初のブロックでスコアを落としたので、今年は初日からしっかりアジャストして、最低でも決勝トーナメント進出を目指します。
―海外では両手投げの選手が多いそうですね。
斎藤:そうなんです。体感では半分以上が両手投げでした。日本でも増えてきていますが、アメリカはすでに主流です。回転数が多い分、レーン変化が早くなり、片手投げの自分には難しく感じる場面もあります。
―今後に向けての課題は?
斎藤:両手投げ選手に対応できる戦術を考えながら、スピードや回転の調整を研究したいです。12月の大会でその感覚を試してみるつもりです。
2年連続でPBAインビテーショナルに挑む斎藤。アメリカ本場の環境で磨かれる経験は、技術面だけでなく思考や適応力にも新たな刺激を与えている。その挑戦は、日本ボウリング界における貴重な国際的ステップのひとつだ。
変化する世界のボウリングシーンにおいて、彼の存在は「個の挑戦」であると同時に、「日本全体の挑戦」でもある。積み重ねてきた経験は、若い世代の育成にも確実に生かされていくだろう。
再び世界へと踏み出す一人のプロボウラー。その姿勢は、ボウリングという競技が持つ奥深さと、挑戦し続ける意志の強さを静かに伝えている。