2025年11月23日から25日にかけて、日本のボウリング界にとって歴史的とも言える3日間が訪れた。それは、PBAワールドチャンピオンシップ史上初の3連覇(2023年〜2025年)、年間最優秀選手賞4回受賞(2016年、2023年〜2025年)という圧倒的な実績を誇る世界的スター、EJタケットがついに来日したことである。
愛知・稲沢グランドボウル、神戸・神戸六甲ボウル、埼玉・新狭山グランドボウル訪れ、各地で行われたセミナー、レッスン、サイン会、チャレンジマッチには合計で482名が参加。さらに約240名の観客が詰めかけ、会場は初日から興奮と熱気に包まれた。
このイベントを主催したのは、国内有数のボウリング総合メーカーである『株式会社アメリカンボウリングサービス(ABS)』。同社はMOTIV(モーティブ)ブランドの輸入販売でも知られており、今回の来日はブランドの魅力を広く届ける大きな契機となった。
ここではABS企画開発本部長・後藤謙二氏、そしてEJタケット本人から来日の舞台裏、イベント構成の意図、そして日本のファンへの想いを詳しく伺った。

2年越しの来日プロジェクトと4部構成イベントに込めた思い
―来日スケジュールはかなり前から計画されていたのでしょうか?来日決定の経緯など教えて頂けるとありがたく思います。
後藤謙二(下記後藤):EJタケットの来日をオファーしたのは2023年からです。2024年はスケジュールが合わず実現できませんでしたが、ついに2025年、念願の来日が叶い、多くのファンと直接触れ合える機会を作ることができました。
―ABS様がセミナー・レッスン・サイン会・チャレンジマッチという構成が選ばれた理由を教えてください。
後藤:EJタケット選手は、2025年シーズンにおいて世界で最も勢いのあるボウラーの一人です。その“世界最高峰の経験と思想”を日本のファンへ直接届けたいという想いから、今回のイベントは4部構成を採用しました。
単なるプロチャレンジではなく、「学ぶ」「感じる」「交流する」「目撃する」という4つの体験を一つの流れとして提供することで、より深く、立体的にEJ選手の魅力を味わっていただくことを狙ったものです。
セミナーでは、彼自身の言葉で苦悩や成長の過程、ボウリングに対する哲学を語ってもらい、ファンにとって貴重な“本音に触れる時間”となりました。
また、レッスンでは短時間ながらもマンツーマンで直接指導を受けることができ、世界トップの技術を間近で体感していただけたと思います。
さらにサイン会では、EJ選手が一人ひとりと向き合う姿勢が際立ち、ファンとの距離がぐっと縮まる交流の時間となりました。
―今回の来日イベントを実現させるうえでの苦労、そして得られた手応えを教えてください。
後藤:来日までにはスケジュール調整を含め、多くの課題があり簡単な道のりではありませんでした。しかし、EJ選手を日本に迎えることで、参加者の皆さんにはボウリングの楽しさと魅力を同時に感じていただけたと実感しています。
また、EJ選手を通じてMOTIVブランドの魅力をより多くの方に知っていただく貴重な機会にもなりました。MOTIVは近年アメリカでプライスリーダーとして地位を確立しており、ハイブランドとしての認知も高まっています。日本でも“ステータス”として選んでいただける存在になれればと考えています。

ファンひとりひとりに向き合う姿勢
―イベント当日の会場の様子や、EJタケット選手のファン対応についてはどのように感じましたか?
後藤:多くの参加者がMOTIVのボールやバッグ、シャツを身につけ、心からボウリングを楽しんでいる姿が印象的でした。皆さん一人ひとりが輝いて見えました。
イベントはセミナー・レッスン・サイン会・チャレンジマッチの4部制でしたが、EJ選手はどの場面でも参加者ひとりひとりに真摯に向き合い、温かく対応していました。その姿勢に胸が熱くなるほどでしたし、ファンの満足度も非常に高かったと思います。
もちろん体力的には相当きつかったはずですが、最後まで笑顔を絶やさなかった彼の姿を見て、私自身もますます好きになりました。

EJタケットからのメッセージ「感じたのはボウリングの素晴らしさ」
―今回の3会場でのファン交流について、どのような印象を持ちましたか?
EJタケット:3会場をまわって改めて感じたのは、ボウリングの素晴らしさです。世界中どこのボウリング場に行っても、同じレーンで、共通の言語・共通の用語でコミュニケーションが取れる。これは本当に特別なことだと思っています。板やオイルなど環境は国や会場によって異なりますが、それでも同じ空間で一緒に楽しめるという点こそ、ボウリングというスポーツの最大の魅力だと感じました。
また、日本のファンの皆様はボウリングへのリスペクトがとても熱く、今回の3会場でもその思いが強く伝わってきました。私自身に向けられる温かいリスペクトも本当にありがたく、迎えてくださったボウリングセンターの皆様にも深い感謝の気持ちでいっぱいです。
―会場に来られなかったボウリングファンへメッセージをお願いします。
EJタケット:今回のイベントは本当に楽しいものでしたので、できれば全ての皆様に来ていただきたかったという思いがあります。ただ、距離やご事情で来ることが難しかった方も多いはずです。
そうした皆様にも、また近いうちに、別の地域や、場合によっては他の国でもお会いできる機会をつくりたいと考えています。
次回、私が日本に来る際には、ぜひ会場まで足を運んでいただけたら嬉しいです。
今回のEJタケット来日イベントは、参加者、スタッフ、そしてEJ本人まで、関わったすべての人が同じ温度で盛り上がり、まさに“幸福な熱量”に包まれた3日間となった。
世界最高峰の王者が見せた卓越した技術と人柄、日本のファンが注いだまっすぐな情熱…そのひとつひとつが会場を満たし、特別な空気を生み出していた。
ABSがつないだこの確かな絆は、単なるイベントを超え、日本のボウリング界に新たな光と可能性をもたらしている。
この3日間で生まれた熱が、これからの日本ボウリングの未来をさらに明るく照らしていくに違いない。