アメリカのボウリングボールメーカーSTORM(ストーム)は、新年に配信した本社発表動画の中で、ボウリングボールの常識を覆す新技術を明らかにした。単なる新製品発表ではなく、「なぜミスショットでもピンが倒れるのか」という長年の疑問に、構造と理論で踏み込んだ内容となっている。
今回発表されたのは、新設されたイノベーション部門による初の大型プロジェクトで、核心となるのが『モーフウィング・コア』を搭載した新ボール『トランスフォーマー』だ。このコア設計は、従来の“フレア量”や“曲がり幅”といった概念だけでなく、ボール内部で起きている回転変化に焦点を当てている。
STORMのCTOハンク・ブーマーシャイン氏が強調したのは、「トルク誘発プリセッション」という考え方だ。これまでボウリングでは、軸がボール表面を移動する“トルクフリー・プリセッション(フレア)”が主に語られてきた。一方で、内部の重量ブロックがどのように回転を維持・増減させているかは、ほとんど注目されてこなかった。
モーフウィング・コアは、シェルのすぐ内側に配置された“ウイング(翼)”構造によって、ボールがレーンを進む間に回転を失いにくくする、あるいは状況によっては回転を保ったままピンに向かわせることを可能にする。これにより、エントリーアングルが確保され、ピンアクションが向上するという。
さらに注目すべきは、ドリルレイアウトによってこの効果を「強める」「抑える」調整が可能な点だ。ウイング部分を避けてドリルすれば回転維持が強調され、逆に貫通させれば動きはより前方向へと落ち着く。つまり、同じボールでも用途やプレーヤーに応じて“別物の動き”を作り出せる。
この技術はトッププロだけのものではない。STORM側は、回転数が少ないボウラーやスピードに頼るタイプほど恩恵が大きいと説明する。多少外に外しても回転が残り、ポケットに戻る可能性が高まることで、「ミスが完全なミスにならない」許容範囲が生まれるからだ。
実際に動画内では、PBAツアープロによるテスト投球で、レイアウト違いによる反応の差が明確に示された。同じライン、同じ投球でも、ピン前での曲がり方や継続性が大きく変化する様子は、これまでのボール設計とは一線を画している。
STORMはこの新技術を、2026年に向けた“次世代設計”の第一歩と位置づけている。ボールが曲がる理由を感覚ではなく理論で理解し、ミスに強い道具を作る。その思想は、競技者だけでなく、すべてのボウラーのスコアと楽しさに直結する革新と言えるだろう。