東南アジア最大のスポーツ大会『第33回SEA Games』で、ベトナムのボウリング界に歴史的な瞬間が訪れた。金メダルを獲得したのは、ホーチミン市の高校に通う11年生(日本の高校2年生に相当)のトラン・ホアン・コイ。わずか16歳の若さで男子シングルスを制し、ベトナムのボウリングにとって初となるSEA Games金メダルをもたらした。
大会はタイで開催され、東南アジア各国のトップボウラーが集結。経験豊富な選手が並ぶ中で、最年少出場だったコイは堂々としたボウリングを披露した。決勝では開催国タイの選手と対戦し、235対210で勝利。9つのストライクを含む安定したゲームメイクで、プレッシャーのかかる舞台でも冷静さを保ち、見事な勝利を収めた。
この金メダルの背景には、家族の存在がある。コイの父親は元ボウリング選手で、これまでSEA Gamesやアジア大会などにも挑戦してきた経験を持つが、SEA Gamesの金メダルには届かなかったという。その夢を息子が引き継ぎ、ついに実現させた形だ。コイ自身も「父の夢をかなえたい」という思いを胸に競技を続けてきたと語っている。
幼い頃はサッカーアカデミーに通っていたが、父の勧めでボウリングの道へ進んだ。最初は迷いもあったというが、次第に競技の魅力に引き込まれ、才能を開花させた。12歳のときにはタイのU13大会で優勝するなど、早くから国際舞台で実績を残してきた。
大会期間中、コイは体調不良にも悩まされていた。発熱や腹痛を抱えながらの厳しい戦いだったが、最後まで集中力を切らさず戦い抜いた。さらに準決勝では組み合わせのミスにより試合がやり直しになるというトラブルもあったが、冷静さを保って再試合を勝ち抜き、決勝進出を果たした。
歴史的な金メダルを手にしたコイは、現在も高校生活を送りながら競技を続けている。今後はアジア選手権や世界大会への挑戦、さらには海外のスポーツ学校への留学なども視野に入れているという。東南アジアの舞台で生まれた16歳の新星は、ベトナムボウリングの未来を担う存在として大きな期待を集めている。