世界最強のプロボウラーが大会運営も!EJタケット一家の知られざる挑戦

EJタケット 写真:nohughes@pba.com/提供:Media Valet

PBA年間最優秀選手賞を史上初めて4年連続で受賞したEJタケット。その世界トップクラスの実力を持つプロボウラーには、もう一つの顔がある。弟のザック・タケットとともにボウリング場を経営し、家族総出でプロ大会を開催しているのだ。10月2日から4日にかけて、米インディアナ州ブラフトンの『EZ Bowl』で行われたPBA ELITEリージョナル大会では、タケット一家による温かいおもてなしが選手や観客の心をつかんだ。

大会の舞台となったEZ Bowlは、EJとザックが2018年に購入した22レーンのボウリング場だ。父エドは1980年代後半から1990年代初頭にかけてPBAリージョナルツアーに参戦しており、以前から自分たちのボウリング場で大会を開催することを夢見ていた。しかし、当時の施設は12レーンしかなく、実現は難しかったという。現在の施設を手に入れてから、その夢は現実となり、今回で9回目のリージョナル大会開催を迎えた。

タケット兄弟が大会運営で大切にしているのは、出場選手が競技だけに集中できる環境を整えることだ。会場には軽食や飲料水を用意し、食事も無料で提供。金曜日のプロアマ終了後にはスポンサーのバーベキューレストランが食事を振る舞い、土曜日には母アンジーが手料理を用意した。

特に人気だったのが、毎年恒例となっている牛肉とヌードルの料理だ。付け合わせとして作った自家製マッシュポテトは、なんと50ポンド(約22.7キロ)。それほどの量がすべてなくなったという。ザックによると、ある参加者からは「ここに来ると、お母さんのキッチンに座っているような気分になる」と声をかけられたそうで、兄弟にとって何より嬉しい褒め言葉だったという。

大会を支えているのは兄弟と両親だけではない。EJの妻ナタリーとザックの婚約者ケイラ・クロフォードも運営の中心を担っている。ナタリーはスタッフの採用や管理、給与の支払いなどを担当し、ケイラもその業務をサポート。2人とも別に仕事を持ちながらボウリング場の運営を支えており、ザックは施設を引き継いでからの成功について、2人の貢献が非常に大きいと感謝を語っている。

EJは年間200~250日を遠征などで自宅から離れており、家族の協力なしには施設運営も家庭生活も成り立たないという。両家の両親も近くに住み、EJ夫妻の幼い息子トリップの世話などを手伝っている。

「ボウリングは、文字どおり人生のすべてを私に与えてくれた」。EJはそう振り返る。両親がボウリング業界に関わり始めたのは約40年前。妻ナタリーとの出会いもボウリングがきっかけで、弟ザックもボウリングを通じてケイラと出会った。EJは、年齢や社会的な立場、育った環境に関係なく楽しめるスポーツだからこそ、ボウリングを単に存続させるのではなく、さらに発展させるために力を尽くすべきだと考えている。

大会では、前年優勝者のグラハム・ファッチのために特別な駐車スペースも確保された。ゴルフ大会で見かけた取り組みをEJが2024年から導入したもので、優勝者の努力をたたえるための小さな心配りだ。今回の一般部門はマイケル・デビッドソン、シニア部門はミカ・コイブニエミが優勝し、来年はデビッドソンがその特別な駐車スペースを利用することになる。

しかし、大会が終わってもタケット一家に休む時間はほとんどなかった。表彰式が終わると、EJは自分のボールなどの用具を片付け、ザックはレーンメンテナンスマシンを動かし始めた。その日の夜に予定されている通常のリーグ戦に向けて、ボウリング場を整える必要があったからだ。

世界の頂点で戦うスター選手でありながら、地元では家族とともにボウリング場を支え、仲間たちのために大会を開催するEJタケット。勝利を追い求めるだけでなく、次の競技機会を生み出すことにも情熱を注ぐ。その姿からは、ボウリングというスポーツへの深い愛情が伝わってくる。

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