ワシントン州の女子高校ボウリングが、全米でも希少な“特別なスポーツ”として注目されている。アメリカでは50州のうち、ボウリングを高校の公式競技として認めているのはわずか19州しかなく、ワシントン州はその中でも例外的に女子競技のみを公式種目として提供する数少ない州だ。
競技形式も一般的なレクリエーションボウリングとは異なり、バーバシティチームは5人編成。2ゲームの個人戦に加えて、5人がフレームを分担して投げる特殊な“チームゲーム”を採用している。リッチランド高校のジェイソン・ベア監督は「1番手は1フレームと6フレーム、2番手は2フレームと7フレーム…というように、全員が協力して1ゲームをつくる」と説明し、団体競技としての競技性の高さを強調する。
一方で、この“特別な公式競技”には課題もある。競技人口は多くなく、学校によっては部員が揃わず、7人のみで活動するケースもある。サウスリッジ高校のロビン・ヘッドリー監督は「もっと多くの子に興味を持ってほしい」と選手募集の必要性を語る。また、ケニウィック学区が利用するボウリング場が学校から数キロ離れており、移動の負担が大きい点も課題だ。
それでも競技者同士の連帯感は強く、対戦相手を応援するなど、スポーツマンシップに満ちた文化が根付く。「衝突が多い他競技と違い、お互いを励まし合うのがこのスポーツの魅力」とベア監督は語る。
女子ボウリングのシーズンは11月から2月まで続き、各チームは限られた環境の中で競技力向上と競技人口の拡大を目指している。
全米でも珍しい“女子だけの公式スポーツ”として、ワシントン州の女子ボウリングはこれからも独自の存在感を放ち続けそうだ。