第33回東南アジア競技大会(SEA Games)で、タイが競技運営のミスについてベトナム側に公式に謝罪したことが分かった。タイ・ボウリング協会(TTBA)は、ベトナムボウリング連盟(VTBF)に対し、16歳のベトナム選手に関する競技のやり直しを含む一連の出来事について謝意を表明した。
問題となったのは、ボウリング男子シングルス準決勝でのペアリングミスだ。ベトナム代表の16歳選手 トラン・ホアン・コイ は準決勝で地元タイ出身のナパット・ブスパニコクルに大きくリードしていたが、主催者側の手違いで誤った対戦組み合わせが適用されてしまった。そのため、主催者は試合を一時停止し、組み合わせを正すために再試合を命じた。結果としてホアン・コイはフィリピン選手との再戦に臨む形となったが、最終的に決勝ではナパット選手を破り、東南アジア競技大会史上初のボウリング金メダルを獲得した。
タイ・ボウリング協会は、この件について謝罪した上で、競技運営の全般責任は アジアボウリング連盟(ABF) にあると説明している。また、競技方式が新形式を採用していたため、誤ったペアリングが生じたとされ、今後の混乱防止に向けた改善意欲も示された。
この謝罪は、競技以外でも大会期間中にタイ側が複数の運営上のミスを認めて謝意を表明した一環とみられる。実際、開会式での国家表示や国際的に敏感な領土表示の誤りについてもタイのSEA Games組織委員会が公式文書で謝罪しており、関係国との調整を進めている。
こうした一連の出来事は、地元開催の大規模国際大会における運営の難しさを浮き彫りにしている。だが、最終的にホアン・コイ選手が金メダルを獲得したことは、混乱を乗り越えたスポーツ選手としての強さを象徴する成果となった。