コピーか戦略か…ボウリングボール設計論争が示す業界の現在地

ボウリングボール 写真:Keyner Ordoñez/提供:Unsplash

2026年1月1日、新製品として発表されたロトグリップ(RotoGrip)新ボールをきっかけに、ボウリング界で「コピーか戦略」かという論争が再び巻き起こっている。発端となったのは、ロトグリップの親会社であるストーム社(Storm Products)が発表した新設計『モーフウィング・コア』を搭載した『トランスフォーマー』の紹介だ。ストーム側はこの新コアについて、ドリルレイアウト次第でボールの挙動やフレア特性が大きく変わると説明し、高い汎用性をアピールした。

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ところが、その翌日にラディカル(Radical Bowling)がSNS上で投稿した内容が波紋を呼んだ。ラディカルは投稿で「イノベーションと模倣の定義」を引用し、「次はドリル番号の後に何が来るのか」と問いかける形で論点を提示した。具体的な製品名は挙げていなかったものの、タイミングと文脈から多くのボウリングファンがトランスフォーマーの設計と結びつけ、両社の設計哲学の違いや類似点についての議論が活発化した。

この論争は、単なる個別製品の比較ではなく、ボウリングボール設計の背景にあるアイデアの発展過程や技術革新のあり方そのものを問うものとなっている。コアの形状や内部バランスを変えることによってボールの挙動を多様化させるという考え方自体は新しいものではなく、過去にも同様のアプローチを持つモデルが存在した。例えばラディカルの2016年発売のフックス(The Fix)は、レイアウトによってシンメトリックから非対称の反応まで変化させる「シェイプシフター・コア』を搭載していた。またトラック(Track)の2018年モデル・エイリアス(Alias)なども、レイアウトによる動きの違いを意図した設計例として挙げられる。

このように、ボウリングボール設計における発想は過去から連綿と受け継がれてきており、似たコンセプトが複数ブランドから登場すること自体は珍しいことではない。業界関係者の一人であるローランド・ヒックランドJr.(Creating the Difference・CEO)は、「似たアイデアを単純に”コピー”と結びつけることには注意が必要だ」と指摘する。ボール設計において重要なのは実現方法や制約条件、測定可能な性能差、そしてどれだけレイアウトによる可変性がコア構造自体に内在しているかという点だという。

一方で、両ブランドがマーケティングの一環として「同一ボールでも異なる動きを生む柔軟性」を強調している点は共通している。ラディカルのイービルアイ(Evil Eye)は2025年10月に発売され、レイアウト次第で広い反応幅を提供することが売りの一つとなっている。トランスフォーマーの発売はそれからわずか2か月後であり、消費者の眼に両社のメッセージは重なって映った。

この議論は、単なる機能比較にとどまらず、ボウリングギアの進化と市場競争の本質にも触れている。メーカー間の技術的影響関係やアイデアの発展経緯を理解することで、消費者は表面的なスペックだけでなく、各モデルがどのような思想で設計されたのかを見極めることができる。今回の論争は、そのような視点を持つ良い機会とも言えるだろう。

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