アメリカ人気YouTubeチャンネル『OneHandedBowling』が、ボウリング用品メーカー「STORM(ストーム)」の“意外な過去”に迫る特集動画を公開し、ファンの間で話題となっている。現在では世界的なトップブランドとして知られるSTORMだが、その歩みは決して順風満帆ではなく、創業期には倒産寸前の危機も経験していたという。
ボウリング自体は古代エジプト時代に起源を持つとされ、長い歴史を経て現在の10ピンボウリングへと発展。特に第二次世界大戦後のアメリカでは、オートピンセッターの普及や郊外文化の拡大とともに競技人口が急増し、1960年代には全米に約12,000のボウリング場が存在するなど黄金期を迎えた。一方で当時のボウリングボールは性能面での進化が停滞しており、革新が求められていた。
その転機となったのが1985年、ユタ州ブリガムシティで誕生したSTORMである。創業者ビル・クリスマン氏は当初、ボウリングボールクリーナーの開発から事業をスタート。その後、わずか25,000ドル(約375万円)の資金を元にボール製造に挑戦した。初期の製品はケンタッキーフライドチキン(KFC)のバケツを使って手作業で作られるなど、極めて原始的なものだったという。
経営は常に危機と隣り合わせで、倒産寸前に追い込まれる場面もあった。しかし転機となったのが、リアクティブレジン素材を用いた『Teal Storm』の開発だ。このボールは従来にない強烈なピンアクションを生み出し、一気に市場で注目を集める。これによりSTORMは一気に競争の最前線へと躍り出た。
さらに1997年には、当時賛否の分かれる存在だったピート・ウェバーと契約。結果として彼はツアーで活躍し、STORMの知名度向上に大きく貢献した。その後も同社はコア設計やカバーストック技術の研究を進め、革新的な製品を次々と投入。単なる新製品の量産ではなく、「目的を持った開発」にこだわった点も特徴的だ。
2000年代以降はブランド戦略も拡大し、2006年にRoto Grip(ロトグリップ)、2014年に900 Global(900グローバル)を傘下に収めた。それぞれ独自の個性を維持しながら展開することで、多様なボウラー層に対応する体制を構築している。
現在のSTORMは、研究施設内にレーンを備えた環境で開発を行うなど、科学と実践を融合させた製品づくりを推進。また、ユース世代への支援やコミュニティ活動にも力を入れ、競技の未来にも積極的に関わっている。
KFCのバケツから始まった小さな挑戦は、いまや世界中のボウラーに影響を与える存在へと成長した。『OneHandedBowling』の動画は、STORMの“現在の強さ”だけでなく、そこに至るまでの試行錯誤と決断の積み重ねを改めて浮き彫りにしている。