カイル・トループの知られざる10のエピソード。アフロボウラーの素顔に迫る

カイル・トループ 写真:kyoung/提供:Media Valet

プロボウリング界のスーパースター、カイル・トループ。トレードマークは一目で分かるアフロヘア、カラフルなシャツ、そして陽気なキャラクターである。PBAツアーで数々のタイトルを獲得し、近年は「世界で最も稼いだプロボウラー」としても脚光を浴びる存在だ。

しかし、その華やかな表舞台の裏には、あまり知られていないエピソードやユニークな物語が隠されている。ここでは、カイルの人物像を深掘りする6つのポイントを紹介する。


「ボブ・ロス」と呼ばれる所以

カイルは、アフロヘアと陽気な性格から『ボウリング界のボブ・ロス』(Bob Ross of Bowling)と呼ばれる。ボブ・ロスとは、アメリカの絵画番組で穏やかな口調とアフロ姿で人気を博したアーティストである。カイルは試合中も笑顔を絶やさず、ファンとの交流を大切にする姿勢を持つ。単なる風貌のユニークさではなく、観る者を楽しませるエンターテイナーとしての魅力を体現しているのだ。

さらに、彼の親しみやすいキャラクターは、若いファンや初心者ボウラーにとっても励みとなる。プロとしての技術だけでなく、心地よい雰囲気を作り出す力も、彼が長年にわたり愛され続ける理由の一つである。


父グッピー・トループとの“親子タイトル”

カイルの父、グッピー・トループは1970~80年代に活躍したPBAツアー優勝8回の名選手である。カイルがツアーで初優勝を果たした時点で、彼らは親子でPBAツアータイトルを獲得した4組目のファミリーとなった。

その後、カイルは父を超える12回のタイトルを獲得し、親子二代でボウリング史に名を刻む存在となった。この親子の物語は、単なる実績だけでなく、カイルの競技に対する真摯な姿勢を象徴している。父から受け継いだ技術や精神は、彼のプレーに色濃く表れ、PBAツアーでの安定感と勝負強さに直結している。


カイル・トループ 写真:nohughes@pba.com/提供:Media Valet

自己流で身に付けた二本手スタイル

カイルの二本手投球スタイルは、独学で身に付けた“ショベル投法”に由来する。現代のプロボウリング界ではジェイソン・ベルモンテを代表格として二本手投球が注目されているが、カイルもまた幼少期に自然にこのフォームを習得した。

コーチに矯正されることなく、自分の身体に合った形で磨き上げた投球スタイルは、他の選手には真似できないダイナミックさを生み出している。力強いストライクショットと柔軟なリリース角度は、二本手投球の長所を最大限に活かした彼ならではの武器である。


2021年、賞金記録を塗り替える

2021年、カイルは年間で49万6900ドルを稼ぎ出し、PBA史上単年最高賞金額の記録を樹立した。従来の記録保持者はレジェンド、ウォルター・レイ・ウィリアムズJr.である。

この記録は、単なる賞金額だけでなく、カイルがメジャータイトルを含む複数の大会で常に上位入賞を果たし続けた結果であることを示している。実力とエンターテイメント性を兼ね備えた彼の存在は、PBAツアーの魅力をさらに高める要因となっている。


カイル・トループ 写真:nohughes@pba.com/提供:Media Valet

TV中継でのパーフェクトゲーム

2022年のPBAツアーファイナルで、カイルはTV中継試合において300点のパーフェクトゲームを達成した。これはPBA公式放送での通算33回目の快挙である。

彼の鮮やかなストライクショットは多くの視聴者を熱狂させ、SNSでも大きな話題となった。さらに、パーフェクトゲームの達成は単なる実績の象徴ではなく、観る者にボウリングの楽しさや緊張感、そしてプロとしての集中力の高さを伝える瞬間でもあった。


『Team Fish』の誕生秘話

最後に紹介するのは、カイルのユーモアと仲間思いの一面を示す“Team Fish”のエピソードである。PBAツアーにおいて『Team Fish』と呼ばれる仲良しトリオが存在する。メンバーはカイル・トループ、コナー・ピックフォード、クレイグ・ニディファー。

ある試合で大きな失投をした際、「魚のようにバタバタした」という冗談がきっかけで結成された。やがてロゴやニックネームまで作り、SNSや試合会場でファンを巻き込みながら活動を続けている。カイルが“AfroFish”と呼ばれるのも、このムーブメントの一環である。

チームとしての絆や笑いの要素が、彼の魅力をさらに際立たせる。単なる勝利だけではなく、仲間との楽しみやファンとの交流も、彼のボウリング人生に欠かせない要素である。


まとめ

カイル・トループは、単なる“派手なアフロヘアのボウラー”ではない。親子二代の実績、独自の二本手投球、年間賞金記録、TV中継でのパーフェクトゲーム、そして仲間と共に楽しむチーム活動。その多面的な魅力が、彼を唯一無二の存在にしている。

さらに、2025年には結婚を果たし、新たな人生のステージに立った。公私ともに充実し、PBAツアーでの活躍もますます期待される存在である。

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