USBC(全米ボウリング協会)は、アメリカ国内の主要大会で使用できないボールの最新リストを作成した。現時点では公式サイトに公開されておらず、関係者のみに資料が渡っている段階だが、日本では一足早くその内容が明らかになった。
今回対象となるのは「スロー・オイル吸収型」と呼ばれるウレタン系を中心とした高性能ボールで、特に日本でも人気が高いモデルが複数含まれている。具体的には、ストーム社の「Phaze 4」や「Pitch Black」、ハマー社の「Purple Urethane」、エボナイト社の「The One Urethane 78D」などが挙げられる。さらに今回のリストには、2025年に発売されたばかりの最新モデルも含まれており、現役で販売されているボールが禁止対象となる点は大きな衝撃だ。これらはいずれも日本のプロ・アマを問わず幅広いプレイヤーに支持されているボールであり、今回の発表は国内ボウリングファンにとっても無視できないニュースといえる。
USBCは過去数年にわたりウレタンボールの規制強化を進めてきた。背景には、オイル吸収の遅い素材がもたらす有利さや、硬度基準のあいまいさがある。特に「73D問題」と呼ばれる、規定硬度を満たさないボールがプロの間で議論を呼んだことは記憶に新しい。そして、USBCは2026年以降、すべての大会でウレタンボールの使用を禁止する方針を発表しており、「ショアDスケール78以上」の硬度を満たさないウレタンボールは大会で使用できなくなる。今回のリストは、その新基準へ向けた過渡期の措置とも位置づけられるだろう。

こうしたルール変更について、世界的トッププロであるジェイソン・ベルモンテは強い不満を示している。自身のSNSでは「頭がくらくらするほどひどい」「78Dのボールが大会によって使えたり使えなかったり、一貫性がない」と混乱をあらわにした。さらに「もしプロにとって悪いものなら、一般のボウラーにとっても悪いはずだ」と指摘し、ルールの不公平さや一貫性の欠如を強く批判した。こうした声は今回の禁止リスト発表を受けて、さらに注目を集めることになりそうだ。
今回の禁止対象はあくまで全米選手権やUSオープン、マスターズといったUSBC管轄の主要大会に限られるため、日常的なリーグ戦やローカル大会には直ちに影響しない。しかし、日本の競技ボウラーにとっても、今後の国際大会やPBA参戦を見据える上で重要な情報であることは間違いない。USBC公式サイトでの最終発表はまだ行われていないが、日本のファンは世界に先駆けて禁止リストを把握できることとなった。今回の動きは、ウレタンボールの未来をめぐる議論が新たな局面に入ったことを象徴している。