PBAツアーの中継を見ていると、選手たちの華麗なストライクや優勝争いに目が向きがちだ。しかし、その舞台裏には選手たちを支える巨大なサポート体制が存在する。その象徴とも言えるのが『PBAツアートラック』だ。
PBAの選手サービス部門が運営するこのトラックは、単なる運搬車ではない。ボール輸送、ドリルサービス、用品管理などを担う移動式プロショップであり、毎週の大会運営を支える重要な存在となっている。
PBAルール&イクイップメントディレクターのニール・ストレムル氏と、プレイヤーサービスマネージャーのジョン・サリバン氏による紹介映像では、その驚くべき実態が明かされている。
毎週200個、多い時は500個のボールをドリル
PBAツアーでは大会会場に到着すると、まず選手たちが練習日に向けて新しいボールを準備する。そこで活躍するのがツアートラック内のドリル設備だ。
選手やボールメーカー担当者がレイアウトを決定し、サリバン氏がマーキングを行う。その後、専用のドリルプレスで穴あけ作業が行われる。選手たちは自分のスペックシートを提出し、それに基づいて作業が進められるという。
通常の大会でも週に約200個のボールがドリルされる。メジャー大会になるとその数は一気に増え、400〜500個に達することもある。PBAツアーではレーンコンディションが毎週変化するため、選手たちは新しいボールを準備しながら戦っているのだ。

ツアートラックには2,300個のボールが積まれている
最も驚かされるのは輸送されるボールの数だ。PBAツアートラックには約2,300個のボールが積載されている。重量にして約35,000ポンド(約15.9トン)。大会ごとにこれだけのボールが全米各地を移動している。
トラック内には大量の未ドリルボールが保管されており、選手やメーカー担当者が必要に応じて選択できる。まさに移動式ボール倉庫と言える規模だ。
また、PBAナショナルツアーでは使用可能なボールにもルールがあり、現在は2022年8月1日以降に製造されたボールのみが対象となっている。こうした規定に対応するためにも、トラックには最新モデルが数多く用意されている。
選手の荷物も一緒に運ぶ
ツアートラックの役割はボールの保管だけではない。PBAツアーを転戦する選手たちは、トラックを利用してボールを各会場へ輸送できる。ツアー選手は最大9個、海外選手は最大12個まで預けることが可能だという。
飛行機で毎週多数のボールを持ち運ぶのは現実的ではない。特に国際選手にとって、このサービスは競技生活を支える重要なインフラとなっている。
選手たちは大会終了後にボールをトラックへ預け、次の開催地で再び受け取る。ファンの目には見えないが、この仕組みがあるからこそ長期間のツアー参戦が成立している。

236泊のホテル生活を送るスタッフたち
ツアートラックを支えるスタッフの生活も過酷だ。サリバン氏によると、年間で約236泊をホテルで過ごしているという。ほぼ1年の3分の2を遠征先で生活している計算になる。
大会前日に会場へ到着し、設営作業を行い、練習日から本格的なサポートを開始する。そして大会終了後には次の開催地へ向かう。このサイクルがシーズン中ずっと続く。
それでもサリバン氏は映像の中で「この仕事が大好きだ」と語っている。選手を支えることに誇りを持っているからこそ続けられる仕事なのだろう。
ツアートラックはPBAを支える縁の下の力持ち
PBAツアーは1958年から続く世界最高峰のプロボウリングツアーであり、毎週異なる都市、異なるセンター、異なるオイルパターンで戦いが行われる。
その舞台裏では、選手だけでなく多くのスタッフが競技を支えている。PBAツアートラックはその象徴的な存在だ。
2,300個のボール、年間数百個のドリル作業、選手の輸送サポート、そして全米を巡る長距離移動。テレビ中継では決して映らないが、PBAツアーが成立するためには欠かせない存在である。
次にPBAの試合を見る時は、レーン上のスター選手たちだけでなく、その背後でプロツアーを支えるツアートラックとスタッフたちにもぜひ注目してほしい。