米国で、女子プロスポーツへの注目が高まる一方、女子プロボウリング「PWBA」が十分な露出を得られていない現状に疑問を投げかける声が上がっている。米ルイジアナ州のテレビ局WBRZは8月17日、「女子プロボウリングは十分に注目されていない」と題したコラムを掲載し、テレビ放送の減少やPWBAが抱える難しい状況を取り上げた。
近年、米国では女子スポーツの人気が拡大し、さまざまな競技がテレビで取り上げられる機会も増えている。しかし、WBRZのケント・ロウ氏は、その流れの中でPWBAは「それほど幸運ではなかった」と指摘する。かつてはCBSスポーツネットワークで多くのチャンピオンシップラウンドが放送されていたが、現在は状況が大きく変化している。
2017年には、ルイジアナ州バトンルージュのレイジング・ケインズ・リバー・センターに特設レーンを設置し、メジャー大会「USBCクイーンズ」を含む4大会の決勝を収録。複数大会の決勝を一つの会場に集約することで、テレビ制作にかかる大きなコストを抑えながら、女子プロボウリングをテレビへ届ける工夫も行われていた。
昨年もCBSスポーツネットワークではUSBCクイーンズ、U.S.女子オープンに加え、PWBA復活10周年を記念したアニバーサリー・オープンを放送。ところが2026年は、USBCクイーンズとU.S.女子オープンの2大会にとどまり、シーズンを締めくくるメジャー「PWBAツアー・チャンピオンシップ」もテレビではなく、USBCの配信サービス「BowlTV」で届けられる。
もちろん、配信によって試合を見られる環境そのものは確保されている。しかしWBRZが問題視するのは、ファンが自らPWBAを探しに行かなければ試合へたどり着きにくいことだ。テレビで偶然目にする機会が減れば、すでにボウリングを知っているファン以外へ選手や競技の魅力を届けることも難しくなる。
一方で、テレビ放送を増やせばすべて解決するほど単純でもない。PWBAは独立した組織として運営されているわけではなく、USBC(全米ボウリング協会)とBPAA(米国ボウリング場経営者協会)が共同で運営・資金面を支えている。WBRZは、この支援によって現在のツアーや賞金規模が成り立っている点にも触れている。
実際、シーズン最終戦のPWBAツアー・チャンピオンシップでは10万ドル(約1,500万円)規模の賞金が用意され、優勝賞金は3万ドル(約450万円)。USBCクイーンズではエントリー料を含めた賞金総額が32万4,000ドル(約4,900万円)に達し、優勝者には6万ドル(約900万円)が贈られた。テレビ制作へ毎大会多額の費用を投入すれば、こうした賞金規模との両立も課題となる。
そしてテレビ露出の減少は、試合を見てもらう機会だけの問題ではない。WBRZは、シーズンを通じて選手の物語や人間性を伝える機会が少なくなることにも注目している。どれほど優れた選手がいても、その選手がどんな人物で、どのような道のりを経て大会に挑んでいるのかが一般層に伝わらなければ、継続して応援するファンを増やすことは難しいとの見方だ。
女子プロボウリングは過去にも厳しい時代を経験している。かつての女子プロツアーは2003年に資金難から活動を停止し、定期的な女子ツアーが復活したのは12年後の2015年だった。それだけに、現在のPWBAツアーが継続して開催され、若い選手が大学ボウリングから次々とプロの舞台へ進んでいること自体、大きな意味を持っている。
競技レベル、賞金、そして世界各国から集まる選手たち――。PWBAには世界最高峰の女子ボウリングツアーとして多くの魅力がある。それでも、その魅力をボウリングファン以外へ届ける「入口」は決して十分とは言えない。
女子スポーツがかつてないほど注目される時代に、PWBAはその波に乗ることができるのか。テレビ放送と配信、賞金、そしてツアー運営のコストをどう両立しながら、新しいファンへ女子プロボウリングを届けていくのか。WBRZが投げかけた問題は、PWBAの今後を考えるうえで重要なテーマとなりそうだ。