アメリカに、約100年もの歴史を刻みながら今もボウラーを迎え続けるボウリング場がある。ウィスコンシン州サウスミルウォーキーにある『サウス・ミルウォーキー・アーケード(South Milwaukee Arcade)』が2026年、開業100周年という大きな節目を迎える。ボウリング場の数がかつてに比べ大きく減少する中、全米でも屈指の長い歴史を持つ現役ボウリング場として、その存在が改めて注目を集めている。
サウス・ミルウォーキー・アーケードの歴史は1927年にさかのぼる。当時の新聞によると、ジョセフィン・コワレフスキーのために建設された2階建ての建物には、ビリヤードルームとボウリングレーンが設けられた。建設費は当時2万ドル。9月1日に一般向けにオープンし、同月27日には当時のサウスミルウォーキー市長チャールズ・フランケが記念の一投を行い、リーグ戦が正式にスタートしたという。
それから約1世紀。経営者は何度も変わったものの、ボウリング場は街から姿を消すことなく営業を続けてきた。1959年にはアービン・ルドウィチャック・シニアとクラレンス・“リンディ”・ラザースキーが購入。当時は10レーンのボウリング場として運営され、1972年にはエド・ヴァラディアン・シニアへ売却された。それ以降は現在まで同じ一族によって歴史が受け継がれている。
長い歴史の中で設備も進化した。1962年には自動ピンセッターが導入され、1990年には地下式のボールリターンを設置。しかし、最新設備へと全面的に姿を変えるのではなく、施設には今も長い年月を感じさせる昔ながらの雰囲気が残されている。現在の共同オーナー、トッド・アンドレスカ氏によれば、過去のオーナーたちが現代に戻ってきたとしても、馴染みのある場所だと感じられるほど歴史的な姿が守られているという。
そして8月29日には、100周年を記念する特別イベントが開催される。地元関係者や歴代オーナー、ボウラーらが集まり、サウスミルウォーキー市長のブレット・ブリーズマイスター氏が記念投球を行う予定。さらに、この100年間に記録を残したボウラーや歴史的な功績を称える『Best of the Best』の表彰も行われる。
100周年ならではの企画も用意された。記念セレモニー終了後には『100-Cent Bowling Celebration』として、午後6時まで1ゲームわずか1ドル(160円)でボウリングを楽しめる。周辺ではライブ音楽やフードトラックなどが登場するブロックパーティーも開催され、街全体で100周年を祝う一日となる。
アンドレスカ氏は、100年という節目について、何世代にもわたるボウラーや家族、リーグ参加者、従業員、地域住民からの支えによって実現したものだと語る。自身も同施設で約40シーズンにわたって働いてきた人物で、South Milwaukee Arcadeの歴史と人々の思い出を守ることを自らの役割としている。
1927年に市長が投じた記念の一球から、まもなく100年。自動ピンセッターの登場、ボウリングブーム、そして数多くのボウリング場が姿を消していく時代を乗り越えながら、サウス・ミルウォーキー・アーケードのレーンには今もボールが転がり続けている。100周年は単なる老舗施設の記念日ではなく、世代を超えて地域に根付いてきたボウリング文化そのものが生き続けている証しと言えそうだ。