皆さんこんにちは、JPBAプロボウラーの永野すばるです。今回のコラムのテーマは「自分の感覚を疑え」です。皆さんも上手くなるためにレッスンを受けたり、動画を見たりしながら、日々練習に取り組んでいると思います。そんな中で、ふとこう考えたことはありませんか?「今の自分の感覚、本当に正確だろうか?」
これまで多くのボウラーを指導してきましたが、私自身も含め、ほぼ100%の方が「自分が思っているように体を動かせていない」のが現実です。頭の中では理想のフォームをイメージできていても、実際の体の動きがそのイメージと一致しているとは限りません。今回は、そのズレに気づくことがなぜ上達につながるのか、お話ししたいと思います。
「やっているつもり」が成長を止める
人間の感覚は、実はとても曖昧なものです。多くの方が「やっているつもり」になってしまっています。例えば、アプローチのステップを改善したいとき。「一歩目を大きく踏み出したつもり」でも、実際にはそれほど歩幅が広がっていない……そんな経験はありませんか?
自分の中では明らかに動きを変えたつもりでも、実際にはほとんど変化していないことがあります。本人は意識して取り組んでいるのに、その意識が実際の体の動きに反映されていないのです。それでも、自分ではできていると思ってしまうことがあります。
もちろん、動きを変えようと意識することは大切です。しかし、「意識したこと」と「実際にできたこと」は必ずしも同じではありません。自分の感覚だけを頼りにしていると、できていないことにも気づかず、同じ動きを繰り返してしまいます。この「やっているつもり」こそが、上達を妨げる大きな壁なのです。
解決策は「動画による答え合わせ」
自分の感覚が正しいかどうか判断するために、今すぐできる最も確実な方法は「自分の目で見て確認すること」です。皆さんはスマホやデジカメを使って、自分の投球フォームを撮影していますか?自分がどのように動いているのかを知るために、動画はとても役立ちます。
例えば、スイングについて考えてみましょう。「肩までしか上がっていないスイングを、頭の高さまで上げたい」と意識して投げたとします。自分では「頭まで上げた」つもりでも、実際に動画を撮ってみると、思ったほど上がっていないということが大半です。自分の感覚と実際の動きには、それだけ大きなズレがあるのです。
ここで大切なのは、動画を見て、自分が意識した通りに動けているかを確認することです。スイングを高くしたつもりなら、本当に高くなっているのかを見てみる。思った通りに動けていなければ、その事実を知ることが次の改善につながります。
動画で確認しないまま「感覚通りにできている」と勘違いして練習を続けても、それは「やりたいことができていない練習」を繰り返しているに過ぎません。自分の感覚だけで判断せず、実際の動きを確認することが、効率よく上達するために重要なのです。
現実を受け入れ、感覚を書き換える
自分の感覚を疑い、動画で「現実」を突きつけることは、最初は勇気がいるかもしれません。しかし、「思った通りに動けていない」という現実を確認することで、初めて具体的な改善策が見えてきます。できていると思い込んでいる状態では、何を変えればよいのかも分からないからです。
例えば、頭の高さまでスイングを上げたいのに、実際には肩の高さまでしか上がっていなかったとします。その場合、「では、どう意識すれば本当に頭まで上がるのか?」と考えることができます。自分の感覚と実際の動きが一致していないと分かれば、意識の仕方を変えてみることができるのです。
そして、意識を変えて投げた後は、もう一度動画で確認してみてください。今度は思った通りに動けているのか、それともまだズレがあるのか。こうした確認を繰り返すことで、自分がどのように意識すれば、目指している動きに近づけるのかが少しずつ分かってきます。
自分の感覚と実際の動きのズレを埋めていくこと。それこそが上達への近道です。ぜひ練習の際は動画を撮影し、自分の感覚を一度疑ってみてください。繰り返すうちに、徐々に「やろうと思った動き」が体現できるようになっていきますよ。
次回のコラムでは、また違ったテクニカルなポイントをご紹介します。ぜひ楽しみにしていてください!