原子核が「ボウリングピン型」!? CERNの巨大加速器で驚きの研究結果

ボウリングのピン 写真:Eva Andria/提供:Unsplash

私たちが普段目にするボウリングのピン。その特徴的な形とよく似た構造が、想像を絶するほど小さな「原子核」の世界にも存在していることが明らかになった。欧州原子核研究機構(CERN)の大型ハドロン衝突型加速器(LHC)を使った研究で、ネオン20の原子核が「ボウリングピン」のように細長く変形した形を持つことを示す証拠が得られた。研究成果は学術誌『Physical Review Letters』に掲載された。

学校の教科書などでは、原子核は丸い球体のように描かれることが多い。しかし、実際にはすべての原子核が球形とは限らない。陽子と中性子の配置によってさまざまな形を持つことがあり、今回注目されたネオン20は、理論上「ボウリングピン」のような細長い構造になることが予測されていた。

ただし、原子核を直接観察して、その形を写真のように確認することはできない。そこで研究チームはLHCで原子核同士を高速で衝突させ、その際に飛び出す粒子の動きを分析することで、衝突前の原子核がどのような形をしていたのかを探った。

研究では、質量が比較的近い酸素16とネオン20を比較。それぞれ酸素同士、ネオン同士を衝突させ、そこから生じる粒子がどの方向へ流れるのかを詳しく調べた。原子核の形が異なれば、衝突した際に生まれる物質の広がり方にも違いが現れるためだ。

その結果、特に原子核同士が正面に近い状態で衝突したケースで、ネオンの細長い形状を反映した特徴が確認された。別のLHC実験であるATLASでも、ネオン原子核について細長い「ボウリングピン」のような形状を示す結果が報告されている。

この発見は、単に「原子核がボウリングピンに似ていた」というユニークな話だけではない。原子核同士を超高エネルギーで衝突させると、宇宙誕生直後に存在したと考えられている極めて高温の物質「クォーク・グルーオン・プラズマ」が一時的に作り出される。原子核の形と衝突後の粒子の動きを研究することは、こうした特殊な物質の性質や、初期宇宙の状態を理解する手掛かりにもなる。

一方、研究結果には今後検証すべき部分も残されている。観測された一部の粒子の流れは理論モデルによる予測と完全には一致しておらず、さらなる研究が必要とされている。それでも、原子核内部の陽子や中性子の配置が、衝突後に生じる粒子の流れにまで影響を残すことを示した点は重要な成果となった。

ボウリング場ではおなじみのピンと、宇宙を構成する原子の中心にある原子核。一見まったく関係のない二つが「形」という意外な共通点でつながった今回の研究は、ボウリングファンにとっても興味深い科学ニュースとなりそうだ。

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