イングランドのレイモンド・ティースが、スウェーデンで開催された『2026 Storm Lucky Larsen Masters(SLLM)』を制し、キャリア初となるPBAツアータイトルを獲得した。さらに今回の優勝によって、2017年にPBAツアーを制している兄リッチー・ティースに続いて兄弟そろってPBAチャンピオンとなり、PBAの長い歴史でも極めて珍しい快挙を成し遂げた。
大会はスウェーデン・ヘルシンボリのオリンピア・ボウリングで開催。2026年のPBAツアーで唯一、米国外で行われる国際大会として、EJタケットやカイル・トループ、ショーン・ラッシュ、ジェスパー・スベンソンら世界のトップ選手も参戦した。その中で最後まで勝ち残ったのが、初タイトルを狙うレイモンドだった。
準決勝では地元スウェーデンのカール・エクルンドと対戦し、235対179で快勝。もう一方の準決勝ではフィンランドのトーマス・カイコがアルビン・グルストランドを255対209で破り、レイモンドとカイコによる優勝決定戦となった。
タイトルマッチは一転して接戦となった。レイモンドは右レーンでは攻略の糸口を掴んだ一方、左レーンでは苦戦。それでもスペアで耐え続け、9フレーム目に左レーンでこの試合初となるストライクを奪うと、重要な場面でダブルを完成させた。
カイコも最後まで食らいついたが、10フレームで10番ピンが残り191で終了。レイモンドは最終的に195とし、わずか4ピン差となる195対191で勝利。長年追い続けてきたPBAツアー初タイトルを手にした。
そして今回の優勝をさらに特別なものにしたのが、兄リッチーの存在だ。リッチーは2017年の『PBA Shark Championship』で優勝し、自身初のPBAツアータイトルを獲得している。それから約9年。今度は弟レイモンドがSLLMを制したことで、ティース家から2人目のPBAツアーチャンピオンが誕生した。
PBAの歴史を振り返っても、兄弟がともにツアータイトルホルダーとなるケースは極めて珍しい。これまで兄弟でPBAタイトルを獲得した例として知られるのが、ネルソン・バートンJr.とニール・バートン。ニールが1980年に制したABC Mastersは当時PBAタイトルとして扱われていなかったものの、2008年のPBAによるルール変更で遡及的にPBAツアータイトルおよびメジャータイトルとして認定された。
そのためティース兄弟は、バートン兄弟に続いてPBAツアータイトルを持つ兄弟となる歴史的な快挙を達成したことになる。
今回の決勝には両親をはじめ、妻のシドニーさんと生後7カ月の娘も駆けつけた。兄リッチーも電話を通じて喜びを分かち合った。
実は兄弟が幼かった頃、両親は2人にある約束をしていたという。それは、どちらかがPBAツアーの決勝まで進んだ際には、可能な限り会場へ駆けつけるというものだった。
2017年、リッチーが初めてテレビ決勝へ進み、そのまま『PBA Shark Championship』を制した時も両親は会場で見届けた。そして約9年後、今度はイングランドからスウェーデンへ渡り、弟レイモンドがPBAチャンピオンとなる瞬間にも立ち会った。
レイモンドにとってPBAツアー制覇は、20年以上追い続けてきた夢でもあった。少年時代、知人が米国から送ってもらっていたPBA中継のビデオテープを何度も見返し、世界のトップボウラーがタイトルを獲得する姿に憧れていたという。
「あそこに立ちたい。自分にもあんな瞬間が訪れてほしい」。そう願い続けた少年が長い年月を経て、ついにPBAの頂点に立った。
大会では最初の300ゲームも記録し、決勝ラウンドではテオドール・サミュエルソン、予選首位のトモ・ガベル・ピンテリッチ、エクルンド、そして最後にカイコを撃破。決して平坦ではない道のりを勝ち抜いて掴んだ初タイトルだった。
兄リッチーから遅れること約9年。レイモンドもついにPBAチャンピオンとなった。幼い頃から同じ夢を追い続けてきた兄弟が、ともにPBAツアー優勝者としてその名を刻むことになった。