10月2日、3日の2日間、品川プリンスホテルボウリングセンターを舞台に『ちゃおちゃおボウリング大会~2026ちゃおちゃおハウス 女子プロボウリングトーナメント~』が開催された。2年ぶりに帰ってきた女子公式戦にはプロ113名、アマチュア4名の計117名が出場し、賞金総額800万円、優勝賞金250万円を懸けて予選12ゲーム、準決勝4ゲーム、決勝ラウンドロビン、そして決勝ステップラダーを戦った。
最後に頂点へ立ったのは中島瑞葵(53期/フリー・ABS)。2023年の第1回、2024年の第2回に続いて『ちゃおちゃお』3大会連続優勝を成し遂げ、今季公式戦初優勝、通算11勝目を手にした。しかし、今大会を中島の優勝だけで振り返るには惜しい。大会前半から準決勝までを大きく動かしたのは、55期、そして58期を中心とする若い世代だった。

予選から前面に出た55期、58期の勢い
大会初日の予選12ゲームで先頭に立ったのは、58期の濱﨑りりあ。2,847ピン、AVG237.25という好スコアを叩き出し、堂々のトップ通過を果たした。その後ろにも若い名前が並び、2位には2,835ピンの近藤菜帆(55期)、3位にはわずか2ピン差となる2,833ピンの緒方彩音(55期)。さらに4位には2,795ピンの濱﨑姫琉(58期)が入り、予選を終えた段階から若手勢が上位を占めた。
中でも濱﨑りりあは12ゲームで237を超えるアベレージを記録し、近藤、緒方も236台をマークした。数ゲームだけの爆発ではなく、12ゲームを通して高いスコアを維持して上位を形成したところに若手勢の力が表れていた。一方、過去2大会を制している中島は2,744ピン、AVG228.66で8位。首位・濱﨑りりあとの差は103ピンあり、ディフェンディングチャンピオンが若手を追いかける展開となった。

16ゲーム終了、トップ5を55期と58期が独占
予選12ゲームに準決勝4ゲームを加えた通算16ゲームでは、さらに象徴的な順位表が出来上がった。予選3位だった緒方が準決勝で246、210、228、258の942ピンを加え、通算3,775ピン、AVG235.93で首位へ浮上。予選トップだった濱﨑りりあも3,761ピンで2位をキープし、近藤が3,726ピンで3位につけた。
4位には3,699ピンの濱﨑姫琉。そして予選11位だった網代羅夢(58期)が準決勝で967ピンを叩き出し、通算3,680ピンで一気に5位まで浮上した。これによってトップ5は緒方彩音(55期)、濱﨑りりあ(58期)、近藤菜帆(55期)、濱﨑姫琉(58期)、網代羅夢(58期)となり、55期と58期だけで上位5席すべてを占めた。
ここまでに投げたゲーム数は16ゲーム。一時的なビッグゲームだけでは、この位置に残ることはできない。予選から準決勝までの長丁場を戦った上で若い世代が上位を独占したことは、現在の女子プロ界における層の厚さを強く感じさせる結果だった。

9位の中島、ラウンドロビンから大会の景色を変える
その頃、中島は準決勝で238、248、229、195の910ピンをマークし、通算3,654ピン、AVG228.37で9位。トップの緒方とは121ピン差があり、ステップラダー進出圏となる4位の濱﨑姫琉とも45ピンの差があった。この時点までの大会を切り取れば、主役は間違いなく若手勢だった。
55期の緒方と近藤、58期の濱﨑りりあ、濱﨑姫琉、網代が上位を形成する中、大会3連覇を狙う中島は9番手から決勝ラウンドロビンへ。しかし、ここから大会の流れが大きく変わる。上位12名によるラウンドロビンで中島が猛烈な追い上げを見せ、順位を次々と上げて最終的にはステップラダーのトップシードを獲得した。
16ゲームをかけて若手勢が築いた上位陣の中を、中島がラウンドロビンで一気に駆け上がった。9位から1位への浮上は、最終的な優勝と同じくらい今大会の中島を象徴するポイントとなった。

緒方、近藤もステップラダーへ。若手の勢いは最後まで
決勝ステップラダーへ進出した4名は、トップシードの中島、2位の安藤瞳(43期/東名ボール)、3位の近藤、4位の緒方。16ゲーム終了時にトップ5を形成した若手勢から、55期の近藤と緒方が最後の4人にも残り、中島がラウンドロビンで順位を大きく上げた後も若手の存在感は消えなかった。
ステップラダーでは若手同士の戦いを経て近藤が3位、緒方が4位となり、優勝決定戦へ進んだのは安藤だった。安藤は勝ち上がりの中で259をマークするなど勢いに乗り、トップシードとして待つ中島とのタイトルマッチへ進んだ。大会前半を若手勢が動かした一方、最後のタイトル争いは経験を積んできた中島と安藤の直接対決となった。

安藤が259で勝利、それでも中島は最後の一戦を制す
トップシードで待つ中島との優勝決定戦でも、安藤の勢いは止まらなかった。安藤が259をマークしたのに対し、中島は207。52ピン差で安藤が勝利したことで、トップシードが敗れた場合に行われる再優勝決定戦へとタイトルの行方は持ち越された。
16ゲーム終了時点では9位だった中島は、そこからラウンドロビンでトップシードまで駆け上がりながら、最後の最後で259を打たれて敗れた。それでも中島は崩れず、再優勝決定戦では安藤も245と高いスコアをマークする中、最後まで食らいついた。
勝負は最終フレームまでもつれ、中島が10フレームでストライクを重ねて249でフィニッシュ。安藤の245をわずか4ピン上回り、激戦に決着をつけた。一度は優勝決定戦で敗れながら、最後にもう一度勝って「ちゃおちゃお」3連覇を完成させた。

若手の台頭と中島の逆転、女子プロの現在地が見えた大会
中島の大会3連覇、そして通算11勝目。それだけでも十分に大きなニュースだが、今回の『ちゃおちゃお』を大会全体で振り返ると、もうひとつ見逃せないのが若い世代の台頭だった。予選では濱﨑りりあがトップに立ち、準決勝を加えた16ゲームでは緒方が首位へ浮上。濱﨑りりあ、近藤、濱﨑姫琉、網代が続き、55期と58期によるトップ5独占という結果を残した。
さらに最後のステップラダーにも緒方と近藤が進出した。一つの大会でこれだけ若い世代がまとまって上位に名を連ねたことは、これからの女子プロボウリング界を考える上でも興味深い。その一方で、最後に勝ったのは53期の中島だった。
中島自身も22歳で、年齢だけを見ればもちろん若い。しかし2021年のプロ入りからすでに5年が経ち、数々のタイトルを獲得。2023年、2024年にはポイントランキング1位に立つなど、今では後からプロ入りした選手たちに追われる立場になっている。その中島が55期、58期の勢いを受けながら、16ゲーム終了時の9位からトップシードまで駆け上がり、優勝決定戦で一度敗れても最後の一戦を勝ち切った。
昨年から公式戦の勝利に届かない時間を経験してきた中島にとって、大きな意味を持つ通算11勝目となった。それと同時に、55期、58期の選手たちが大会の中心で存在感を示したことも、今回の結果から見えてくる。
勢いを増す新しい世代と、その少し先を走り続けてきた中島瑞葵。若手が大会前半を席巻し、その流れを最後に中島がひっくり返した。2年ぶりに開催された『ちゃおちゃおボウリング大会』は、中島の大会3連覇だけではなく、女子プロボウリング界のこれからを感じさせる2日間となった。